聞ける化
1 聞ける化とは
「聞ける化」とは、音声で情報を伝達できるようにすることをいいます。
科学技術の発達で様々な情報伝達法が多様になり、特に文字による情報に音声を加えて伝達することが一般的になってきました。

生成AIの便利な機能を使って音声読み上げや多言語翻訳が盛んに行われ、聞ける化でHPをはじめ様々な情報伝達手段が数年後には一変するものと思われます。
2 聞ける化が支える社会
文字は基本的に人の視覚能を使う文化を築き上げてきました。そういう意味で文字の役割は大きくこれからも視覚能の文化を支え続けるものと考えます。
これに対し、聴覚能を使う文化は技術の発達を待つしかありませんでした。そして今、聴覚能を活用する聞ける化で新たな文化が築かれ始めました。
PCの発達、読み上げソフトの発達、翻訳ソフトの発達そして生成AIを活用した音声多言語化が急速に進展し始めているのです。
聴覚能を主体とする次代の文化は、世界に開かれたかたちで発展していく文化であり、国境を超えた広がりを見せ始めています。聴覚能を活用する文化は次代の世界を支えるとともに、ローカル言語の重要性と多様な文化の素晴らしさを再認識させることでしょう。
3 視覚能と聴覚能の融合した社会
文字が発明され、人は文字を書き、文字を読む視覚能を優占させる文明を築いてきました。それは、文字を書く技術が先行し発達したためです。そして、現代では見える化が急速に進み、聞ける化が後手に廻ったかたちになりました。
しかし、ここ10年の音声化技術の進歩で、誰もが聞ける化することができる時代になったのです。
聞ける化の進展が進むと、目の不自由な人たちにも恩恵がもたらされる社会の実現が可能になり、これまでの主に視覚能を活用した社会活動に加え、聴覚能を活用した社会活動が融合された新たな国際社会の実現が望まれているのです。

4 視覚能社会の世界を狭小にしている
見える化の進んだ国際・情報社会で新たに聞ける化の取り組みが進展しています。
見える化と聞ける化を進めることで、視覚能と聴覚能をバランスよく活用できる科学的学びの場が実現します。
筆やペンが発明され、活版印刷の発明で文字を読む文化が先行し、世界は視覚能を優占する社会が構成されました。学校などの教育現場にも黒板やチョーク、鉛筆や消しゴムなどの文字を書くための視覚能を活用する、文字を読む文化が長い年月をかけて定着してきたのです。
携帯電話は話をする情報機器だったものが、スマートホンとしてむしろ視覚能を頼りにするデジタルデバイスに転じてしまいました。この現象はやはり従前の視覚能社会に引きずられて発展の道が狭小になっていることを意味します。
これから聴覚能を活用する新たな社会環境を創り上げていく必要性があります。
5 聞ける化の実践事例 1
高田は中学理科の生物分野、化学分野、物理分野そして地学分野の学習内容を音声化し、一般社団法人日本理科検定協会の行う理科検定に応用し、小学生に中学理科の学習を勧めてきました。
普通1年間で学ぶ理科の内容を3日もしくは5日で学んでもらい、理科検定3級を受検、その学習成果を確定する活動を推進してきました。
その結果、音声学習材で学んだ小学生の合格率が飛躍的に高まっていることを確認し続けています。一般的には3級の合格率は小学生の場合、20%以下ですが、音声化した学習材で学んだ小学生の合格率は優に70%を超えているのです。しかも数日で学習した成果が3級合格というかたちで発揮されているのです。
6 聞ける化の実践事例 2
高田は既に80歳を超えています。5年ほどを懸けて高校理科の音声化、中学理科の音声化を進めてきた結果ですが、高田にかかってくる電話相手の話すスピードがあまりにも遅く感じているのです。そして、TVのニュース放映やニュースキャスターの音声スピードが遅く感じてもどかしさを覚えることもあります。
これは、高田の実体験です。
私の聴覚能はこの5年間で飛躍的に高まっています。それは、テキスト表現を読み上げソフトにコピペして音声化した内容を聴き直し、適切に読み上げられているかを確認している間に、私の聴覚能が高まった証です。その副産物としては高効率の読み上げスピードの値も把握できました。
この経験値が高田の音声聴き取り能力が向上していることを証明しています。
80歳になっても聴き取り能力は高まる。
聞ける化の効用の一つがここにあります。
老若男女を問わず、聞ける化の重要性を再認識しているところです。
2025年2月5日
高田大進吉
参考文献
超高速学習 理数検定研究所刊 高田大進吉
世界のどこででも生きられる学び直し 超高速学習と理数 理数検定研究所刊 高田大進吉
